ということで、
今回は巻き芯の長さで調整して、巻き芯にリューズを固定するところまでの工程について説明します。
自作腕時計の定義
毎回言ってますけど、ここではスイスの時計職人のようにひとつひとつの部品を作って腕時計を組み立てるということではなく、ケース、文字盤、針、ムーブメント、バンドをネット等で入手して、それらを自分で組み立てて作った時計を”自作腕時計”と定義します。
巻き芯の長さ調整とは
巻き芯というのはリューズとムーブメントをつないでいる棒です。それ以上でもそれ以下でもありません。自作の腕時計用のムーブメントを購入するとダミーの巻き芯と実際に使う巻き芯が付属しています。付属している巻き芯は様々なケースに対応できるようにある程度の長さがあります。そのままでは長くて使えないのでケースに合わせた長さにカットする必要があるわけです。
必要な工具
巻き芯の長さを調整する為に必要となるのはカットする寸法を測るためのノギスとカットするニッパー、端末処理のためのヤスリが必要になります。巻き芯にリューズを固定するにはネジロック剤を使用します。
- ノギス カットする寸法を測ります。ノギスじゃなくても測ることはできますが、ノギスが一番手っ取り早く測れます。
- ニッパー ワタクシは”喰い切り”といわれるエンドニッパーを使ってますが切れれば何でもOKです。
- ヤスリ カットした巻き芯の端末を整えます。
- ネジロック剤 巻き芯にリューズを固定するのにほんの少しだけ使います。1本買えば一生モノかも?
カット寸法の測り方
巻き芯にリューズを付けた状態でムーブメントに刺し、ケースからリューズまでの距離を測ります。ねじ込みリューズはリューズ自体に収縮機能が備わっているため、縮めた状態で測ります。
巻き芯のカット
コツは測った数値よりも若干短めにカットすることです。測った数値が6.5ミリだったとしたら巻き芯の端末から6ミリだけカットし、残りの0.5ミリはヤスリで整えるための余白とします。カットするときに巻き芯が吹っ飛んでいくことがあるので手で包み込むようにしてカットしましょう。
端末処理
カットした巻き芯はカットしたときのバリが残っていてそのままでは使えません。リューズにねじ込めないはずです。
そんな巻き芯の端末をヤスリを使って整えます。整え方ですが、切断面を真っ直ぐ平面に整える人、鉛筆を削るように尖らせる人がいるようです。ワタクシはどちらかといえば後者ですが、スムーズにリューズにねじ込めればいいだけなのでこだわる必要はありません。
確認
一時的に端末処理が終わった巻き芯にリューズを取り付けます。スムーズにねじ込めないようでしたら再度端末処理をしましょう。巻き芯にリューズを付けることができたらケースに入っているムーブメントに差し込みます。ねじ込みリューズの場合は実際にリューズをリューズパイプまでねじ込みます。
ここでケースとリューズの隙間を確認して、隙間なく密着していれば第1段階は合格です。
リューズを引いてカレンダーの動作、時刻調整ができれば第2段階合格。
ハック機能があるムーブメントの場合は時刻調整の状態で秒針が止まっているはずです。
ここでリューズを普通に押し込んで秒針が動き始め、手巻きができれば第3段階合格です。
ケースとリューズの間に隙間があれば再度ヤスリで削って隙間がなくなるまで長さを調節します。第3段階がうまくいかなかった場合は短くしすぎた可能性が高いので、諦めて新しい巻き芯を用意して最初からやり直しましょう。
接着
巻き芯とリューズを接着する必要があるのないのか、ワタクシはなんともいえません。そう簡単に外れるものではないとは思います。ですが、製品として売られている腕時計のほとんどは接着しているようなのでワタクシは基本的に接着しています。
接着に使うのは一般的に”ネジロック剤”と言われる接着剤です、車の整備に使うような強力なものは必要ありません。
接着といっても巻き芯の端末にちょっとだけ接着剤を付けてリューズをねじ込み、はみ出した接着剤をロディコで拭き取るだけです。注意するのはきちんと巻き芯をリューズの奥までねじ込むだけです。
当初は巻き芯の長さ調整とリューズの接着は別に説明するつもりでしたが、それぞれ時間がかかる作業ではないためひとつにまとめました。
リューズは唯一腕時計を操作するための部品です。調整不足だと防水性に問題が生じるかもしれませんし、操作に支障をきたすかもしれません。自作腕時計を作る上でもほぼ最後の工程になります。あとは裏蓋を閉めるだけですので焦らずじっくり確実に作業しましょう。
コメント